活動報告
令和6年5月 市立美唄病院は新院舎に移転しました

市立美唄病院は1943年に町⽴病院として開設しました。1966年の1回目の建て替えで建てられた赤レンガ造りの建物は、美唄市のシンボルとなる建物のひとつとして親しまれていました。しかし築後50年以上が経過し施設全体が老朽化、現在の耐震基準も満たしていない上、建物の大きさに対し建設当時から減少した病床数では施設の維持管理が⾮効率となっていたため、再び建て替えを行うこととなりました。
建て替えにあたり考慮すべき地域の現状として、美唄市では当院が救急・透析・小児科・産婦人科の医療を行う唯一の病院であり、また高齢化の進行により従来の原因究明・根本治療による「治す医療」から急性期・回復期・慢性期・在宅医療までの医療サービスを提供する「治し支える医療」への転換が求められています。また南空知医療圏においては必要病床数に対して急性期・慢性期に余剰がある一方、回復期が不足しています。
そのため建て替えにあたっては、コンパクトで効率的であること、透析・救急・リハビリを充実させ、回復期病床を増やして地域包括ケアシステムの強化を行うことを目標としました。
設計ではコンパクトな病院を目指し、分散していた外来を1ヶ所にまとめ、利用者の動線を短く、解りやすくしています。透析とリハビリは2階に広くスペースを取り、さらなる設備充実、患者増加にも対応できるようにしました。複数階に分かれていた病棟は3階に集約しスタッフステーションから各病室までの動線を短くするよう配置しています。
また感染症への対策として病棟には陰圧室を2室、透析センターには隔離室1床を設け、外来では通常受診と発熱外来受診の動線が重ならないよう配置しています。
この他、セキュリティ強化として診療スペースとバックヤードを分離して扉に電子錠を取り付けること、患者や家族がくつろげるスペースや多目的に使えるスペースを用意すること、将来の規模や機能の見直しに対応できる構造にすること等を盛り込んでいます。
1階
1階には外来、処置、検査(臨床検査科・放射線科・内視鏡)、救急を集約しています。
患者にとっては動線が短く、職員にとっても部門間の連携が容易です。またプレキャスト・プレストレストコンクリート工法により柱を可能な限り無くすことでエントランスから各部門が視界に入り、迷うことがありません。
発熱外来は通常受診とは正反対に入口を配置し、感染対策が必要な患者とそれ以外の患者の動線が重なることはありません。
セキュリティ対策として、バックヤード側への入り口は電子錠によって施錠し、関係者以外が不用意に入ってしまうことを防ぎます。
調理部門はバックヤード側に配置し、配膳等で患者の動線を妨げることがありません。
ゴミ収集やリネンクリーニングなど外部とのやり取りが必要なものは、それぞれの部屋に屋外への扉を設置してあります。
事務局や医局等は別棟にし、病院改変時の増改築が簡易に行えるようにしてあります。

エントランス・待合
エントランスから受付や診察室が見え、初めて来院しても迷いません。
赤レンガ
市民に親しまれた旧院舎外壁の赤レンガを受付横に移設しています。
外来
設置のディスプレイに待ち状況やお知らせなどを表示しています。
診察室
診療内容等のプライバシーに配慮した造りにしています。
中廊下
外来の各診察室に繋がる中廊下によってスタッフの作業や連携がしやすくなっています。
処置室
検査科


放射線科

撮影室

TV室

CT室
調理室
EV
エレベーターのうち一基は両面扉になっており、バックヤード側から乗り降りできます。
電子錠
電子錠は事務局から遠隔で開錠できます。
外扉
廃棄物やリネンの保管室は直接外に繋がっています。
2階
透析部門とリハビリテーション科を広く取り患者増に対応できるようにしています。
院内の会議等の他、外部からの利用も可能な多目的室は、可動壁により三分割にして使用したり、一つの大きな部屋として利用することもできます。
災害への備えとして、機械室、手術室、サーバールームなどは2階に配置してあります。
1階と同様バックヤード側への入り口には電子錠で施錠しています。

リハビリテーション科
透析センター
多目的室
可動壁により分割して使用することができます。
3階
3階外周に配置した病室を、東西で一般病棟と療養病棟に振り分け、それぞれのスペースの中央にスタッフステーションを配置することで、看護師が病室を見守りやすく全ての病室にアクセスしやすい環境を整えています。
病室は4床が14室、2床が1室、1床が17室、計75床32室あり、そのうち15床は地域包括ケア病床、2室は感染症対策用の陰圧室となっています。
廊下は幅を広く取り、車椅子どうしでもお互いを妨げずに往来できます。
デイルームは患者や家族がリラックスできるよう開放感のある作りにするため、壁を無くし広々とした空間になっています。
エレベーター前から室内へ入る扉は電子錠となっておりスタッフステーションから遠隔操作によって開き、患者の事故や不審者の侵入を防ぎます。また、階段へ続く扉も同様に電子錠となっています。

スタッフステーション
病室
廊下・デイルーム
電子錠
インターホンで呼び出しがあったら、スタッフステーションから遠隔で開錠します。
当院の建て替えは2016年から計画策定に取り掛かりましたが、新院舎での開業は2024年5月と長い期間を要することとなりました。これは期間中に世界的な物価高騰や市の将来設計の見直しがあり、計画を変更したためです。
当初の計画は院舎の設計まで進んでいましたが基本構想からやり直し、施設全体をコンパクトに再設計してできるだけ事業費を抑え、将来の医療需要の変動に対応するため乾式間仕切り壁や二重床を採用してレイアウトを変更しやすい構造にしました。また期間中にコロナ禍があったことから感染対策を充実させました。
これらの変更により現在の市の財政状況に合致しつつ、将来の医療需要の変化に合わせた改修を行える施設として完成させることができました。
今後5年ごとに行う病床規模や病院機能の見直しの際には、地域の医療需要を把握し、それに対応した病院へと改修していくことで、適切な地域医療を提供しつつ持続可能な病院運営ができるよう努めていきます。
2026年2月5日 更新

