活動報告

平成27年10月小樽市立病院はグランドオープンしました

 病院全景

病院全景


駐車場

駐車場

 小樽市立病院は、老朽化した二つの市立病院(旧市立小樽病院、旧小樽市立脳・循環器・こころの医療センター)を統合・新築し、平成26年12月1日に開院しました。開院後、隣接する旧市立小樽病院跡地に駐車場(250台収容)を整備していましたが、10月16日に駐車場の供用を開始し、グランドオープンしました。

施設の特徴

 小樽市立病院は、敷地面積14,882m2、延べ床面積30,862m2、地下1階地上7階建の鉄筋コンクリート造で、地震の揺れに強い免震構造を採用しています。
 建物は、敷地の高低差を利用した階構成や接道状況を考慮し、北西側にメインアプローチ、南西側に地下階のサービスヤードを配置し、1・2階は方形、3階から7階の病棟階はコの字型となっています。
 1階は、患者さんへのわかりやすさと利便性を最優先とし、エントランスホールと連続するホスピタルストリートを軸に、主要な外来診察機能(外来診療部門、検査・処置部門、放射線検査部門)を集約しています。廊下の突き当たりは、病棟階を含め全て開口とし、外部からの自然採光と眺望が確保された明るく快適な空間を構成しています。
 診察室・処置室の番号表記は、全て連番で入ロ扉に大きく表示し、高齢の患者さんにもわかりやすくしています。

外来

外来

 救急部門は、救急車と一般車との動線が交差しないよう前面道路からスムーズにアプローチできる位置とし救急車用のドックスペースを設置しています。
 また、救急用等の業務用エレベーターは、患者さんや外来者が使用する一般エレベーターと分離し、2階の手術室やICU、屋上ヘリポートとの縦動線を確保しました。
 パブリック、外来部門のサインは、小樽の代表的風景である小樽運河を背景とし、親しみやすさ、陽気さ、豊かさの色で日本の伝統色繍そひ(だいだい色)を採用し、また、3階から7階までの病棟は、山側の病棟は緑色、海側の病棟は青色、共用部は茶色を基本とした小樽の風景を代表する美しい山と海の色を基調としたデザインとしています。

病棟 東

病棟 東


病棟 西

病棟 西

 病棟階には、各階に二つのスタッフステーション(SS。7階は1か所)を配置し、患者さんやお見舞の方とスタッフの動線を分離するとともにスタッフ作業の効率化を図るため、相互が機能的に連携するSSリンク(スタッフステーションを繋ぐ業務用廊下)を配置しています。

SSリンク

 病室は、4床室と個室で構成し、4床室には、廊下側からアクセスできる個別トイレを設置しています。
 病室内は、床頭台を家具化することで準個室化を図り、暖房は床暖房を併用し、快適な療養環境を提供しています。
 小樽市は、ガラス工芸が盛んなことから、エントランスホールの吹き抜け部分に市内在住のガラス工芸作家によるステンドグラスやタペストリーを設置し、また病棟階のデイルームには、市内15か所のガラス工房が制作したオブジェを展示し、癒しの空間を演出しています。

病室

病室


エントランス

エントランス


デイルーム

デイルーム

 病院敷地には、小樽教育発祥の地として138年の歴史を刻んだ「旧量徳小学校」が建っていたことから、「量徳小学校メモリアルガーデン」を併設し、学校に設置されていた記念碑やエゾヤマザクラを配置し、患者さんや来院者の方々の憩いの場として提供しています。

量徳小学校メモリアルガーデン

量徳小学校メモリアルガーデン

災害対応と設備環境

 小樽市立病院は、北海道後志2次医療圏の災害拠点病院及び初期被ばく医療機関として、地震などの大災害が発生した場合であっても医療機能を保持し、医療業務を継続できるよう免震構造を採用しています。
 屋上には、夜間照明も備えたヘリポート(着陸帯21.0m×22.5m、機体全備重量9.0tまで対応可能)を設置しています。また、災害などに備え非常用自家発電設備(72時間対応)や冷却水受水槽、汚水貯留槽(災害時の雑排水として利用可能)を整備するとともに、災害などにより多数の患者が発生した際のトリアージスペースや救護スペースとして活用できるように、エントランスホールや講堂等に医療ガス設備と一部災害用椅子を設置し、災害時の機能性を確保しています。機械設備、電気設備は、2階と3階の間にISS階(設備展開スペース)を設置し、機能性や将来可変性への対応を可能としています。
 また、地中熱の利用による外気負荷低減システムを導入するとともに、LED照明、太陽光発電設備の採用など省エネルギー化や省コスト化を図っています。

ヘリポート

ヘリポート

医療環境の特徴

 小樽市立病院は、高度で専門的な医療を提供する地域完結型医療の中核を担う病院を目指すとした方針を基本とし、その上で、「がん診療」「脳・神経疾患診療」「心・血管疾患診療」の三つの柱と、他の医療機関で担えない疾患の診療と地域医療連携における中心的な役割を果たすことを二つの特性として位置付けています。
 また、地域の中核基幹病院としてより専門的なチーム医療が可能となるように「消化器病センター」「心臓血管センター」「脳卒中センター」「認知症疾患医療センター」を設置し、より質の高い医療が提供できるよう取り組んでいます。

  1. ハイブリッド手術室
     手術室は7室を備え、そのうちの1室は、X線血管造影装置を備えたハイブリッド手術室としました。
     患者さんの状態や変化に応じた検査、処置、手術が即時に対応でき手術時間が短縮されることや、胸部大動脈等へのステントグラフト内挿術をより正確に行うことができます。
     また、血管3Dナビゲーションによる手術も可能となり、患者さんへの負担が軽減され、早期の社会復帰にも有効になるものと期待されています。
    ハイブリッド手術室

    ハイブリッド手術室

  2. PET-CT装置
     後志2次医療圏において初めてPET-CT装置を導入しました。
     この装置は、PET装置とCT装置を組み合わせた装置で、Time of Flight (TOF)や呼吸同期が可能であることから、小樽市立病院が力を入れている「がん診療」などに大きく寄与するものと期待されています。
    PET-CT装置

    PET-CT装置

  3. 放射線治療装置(リニアック)
     小樽市立病院の開院に合わせて機器を更新し、最新式のIGRT(画像誘導放射線治療)を利用した精度の高い治療が可能となるとともに、4次元CT画像の撮影機能も備え、照射直前に腫瘍の位置を4次元で把握することも可能となりました。
     また、6軸制御が可能なロボット天板を備え、撮影したCTから算出した位置誤差を自動で補正し、高精度な放射線治療が実現できることから、圏域内において治療可能な対象疾患の増加が見込まれます。
    放射線治療装置(リニアック)

    放射線治療装置(リニアック)

  4. MRI装置
     従来の1.5テスラのMRIに加え、3.0テスラのMRIを導入しました。
     高精細で短時間の検査が可能となり、詳細な画像診断に対応しています。また、間口が従来機よりも広く設計されていることから、患者さんの圧迫感の軽減や検査体位の制限が緩和されています。
    MRI装置

    MRI装置

  5. オープン病床(7階西病棟44床の一部に設置)
     昭和44年、小樽市医師会との連携により、旧市立小樽病院において国内で初めてとなる「オープン病棟」を開設しました。この仕組みは、小樽市立病院でも引き継ぎ、地域医療機関との連携強化の証として稼働し、現在22床で運用しています。
  6. 感染症・結核病床
     感染症・結核への対応機能として、5階東病棟に感染症病床2床、西病棟に結核病床4床を配置し、全て陰圧個室となっています。

今後の展望

 小樽市においては、高齢化の進展とともに、「がん診療」「脳・神経疾患診療」「心・血管疾患診療」などに対する専門的かつ高度な医療と、糖尿病などの慢性疾患など病状に応じた継続的な医療が必要となっており、地域で急性期医療を完結できる機能、回復期・慢性期医療に対応できる環境の整備、医療機関と介護・福祉施設との連携体制の構築など適切なケアを受けられる環境づくりが求められています。
 このような中、小樽市立病院は、後志2次医療圏の基幹病院として高度・急性期医療を担い、他の医療機関とのネットワーク化を推進し、この地域で完結できる医療体制の拠点となること目指しています。
 今後とも、市民や後志地域の住民が安心・安全な生活を送ることができるよう最良の医療を提供するとともに、災害拠点病院として災害による重篤患者の救命医療等を行うための高度な診療機能を確保してまいります。そのためにも、医療従事者の意識改革を進め、教育・人材育成にも力を注ぎ、チーム医療の推進に努めるほか、地域の医療機関、住民との連携を進めるとともに、両院の統合を契機として効率的な運営を行うことにより、健全な病院経営に努め、最良の医療を提供していけるよう職員一丸となって努力してまいります。

病院空撮

病院空撮

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